「おわびにしても、見合ってないよ。
さすがに申し訳なさすぎる……」


こんな素敵なフレンチ料理に見合う
お礼を出来るのか、

ちょっと自信はないけれど。


「じゃさ、
そんなに気になるなら
今度弁当、作ってきてよ」


「え、いや、なんで?」
 

「だって、
いつもうまそうなの食ってるじゃん」


「普通のお弁当だよ?」


「でも、自分で作ってるんだろ」


「えっと、うん」


簡単なものばかりだけど。


「でも、遥先輩のお母さん、
ものすごく凝ったもの
作ってくれそう。

私のお弁当なんて口に合わないよ?」


「悪気はないんだろうけど、
張り切り方を完全に間違えててさ。

毎日、おせち料理みたいな
重箱作るんだよな」


言ってる側から
遥先輩の表情が陰っていく。

そんな遥先輩に
幼少期の思い出がよみがえる。