こんな溺愛、きいてない!

食事を終えると、
カードで遥先輩が支払いを
済ませてしまった。

せめて出せる分だけでもと
渡したお金も
受け取ってはもらえず、

返せる見込みのない
巨大な借りを遥先輩に作ってしまった。


「うまかった?」


「うん、すごく、美味しかったです。
ごちそうさまでした。

でも本当のこと言うと、

緊張しすぎて、周りの人にも
お料理作ってくれたひとにも
申し訳なかったから、

もしつぎにこういう機会があるなら、

ぜひともファミレスか
ファーストフードでお願いします。

割り勘にもできないので」



「ぶっ! 凛花正直すぎっ。
普通、そう思っても 
口には出さないだろ」


「嘘ついたら、かえって失礼だよ」
 

「凛花、らしっ」


肩を揺らして笑う遥先輩に
口を尖らせる。


「いくらなんでも、これは
常識を大幅に飛び越え過ぎてるよ!」


「いいじゃん、おわび、なんだから」


ニコニコと笑う遥先輩に
ぐちゃぐちゃに頭をなでられて

目をつぶる。