こんな溺愛、きいてない!

「あ、凛花も花束ほしかった? 
今度、用意しておこうか?」


「ううん、大丈夫」


学校帰りに
フレンチレストランに寄り道して、
バラの花束渡すって

いったい、
遥先輩はどんな学生生活を
送ってきたんだろう?


ちらりと遥先輩を見上げると、
眩しすぎるほどの笑顔に
包まれる。


遥先輩は、
悔しいけれど、
文句なしにカッコいい。


あの世界の人に求められる
華やいだ雰囲気を、

遥先輩は
生まれながらに
持ち合わせてる気がする。


それなのに、
モデル業だけに限定して
多方面からのオファーを
断り続けているのは
どうしてなんだろう?


「遥先輩は
モデル以外の仕事はやらないの?」


好奇心から聞いてみる。


なにより、遥先輩は鈴之助みたいに、 

目立ちたい! とか、
有名になりたいって
感じがあんまりしない。


「あー、俺は、
おやじの会社のCMとか広告とか、
プロモーションだけ。

それだけでも事務所に
所属しなきゃいけないって言われて

親父の知り合いの
本郷社長のところに
置いてもらってるけど
ほかの仕事はやらない。

つうか、あんまり好きじゃない」


なるほど、
ちょっとだけ納得。