ことんと、メガネをはずして
テーブルにおいた。


すると、
パッと遥先輩が顔をあげて 
動きをとめる。


「凛花、メガネ、かけろよ。
ほら、目立つの嫌なんだろ」


遥先輩に手渡されて、
嫌ともいえずに
眼鏡をかけなおした。


でも、どうして?


この前は
「眼鏡、かけてないと可愛い」って
言ってくれたのに。


「ほら凛花、これ、うまいよ」


話題を逸らすように
遥先輩がスプーンを差し出す。


戸惑いながらも

遥先輩の差し出したスプーンを 
口に含むと、

優しくて甘い
海の味わいが広がる。


「ん、おいしいっ!」
 

顔を上げると、

遥先輩が目を細めて
ものすごく楽しそうに笑っている。


「遥先輩、どうしたの?」


「いや、
人見知りの子猫を手なづけた気分?」


むむむっ。


「あのさ、いいこと教えてあげる。
凛花、怒ってる顔もわりと可愛いから
怒っても逆効果」