(……また、だ)
「あ、ご、ごめんなさ…っ」
「ううん。最近左の穴をひとつ増やしたから、なるべく周辺には触らないようにしていたんだ」
「っ、そうだったんだ!嫌われちゃったかと思った…」
彼を囲む女子グループの一人が
何気なくボディタッチをして彼に腕を組みつつ、甘い声で彼の耳元に手を伸ばそうとした時
目に宿していた光を跡形もなく消すように
一瞬だけ、ゾッとするような冷たい無表情をした。
彼女たちを軽蔑し、世界のすべてを見下しているかのような、冷酷な瞳で。
「驚かせてしまってごめん」
「もうこの子ったら、そういうところあるからぁー。私からも友達として謝っておくね、本当にごめんっ」
「「ごめんね御堂くんっ」」
「……。もうしないからね、ごめんね…」
一瞬の氷の世界から繕った暖は、彼女たちには暖と言えるのだろう。
ピアスに触ろうとした女子は、謝った友人たちに不服そうな顔をしていた。
…分かりやすい。みんながみんな、御堂くんに好かれたい一心だということが見え見えだ。