「え…、」
「失礼ですが、いくら支配人様でもそれは聞き入れることが出来ません」
「…何故です」
「僕が嫉妬をするからです」
「ふはははっ!それは、気が回りませんでした。紫月の言う通りですね…」
…紫月は多分、わたしが支配人と密室でふたりになるのを避けてくれたんだ。
なおかつ支配人を怒らせない理由。すぐさま出てきたその理由に、彼の頭の回転の速さを思い知ったのだった。
「それでしたら、そこで監視していてもらって構いませんよ。少し話をするだけです」
「………、」
「なに。紫月のおじとして、きちんと挨拶をしていませんでしたからねぇ」
「…分かりました。壁際に立っています」
そう言って、一度だけわたしの頭を撫でた紫月。
…大丈夫、という意味なのだろう。わたしもうなずいたのだった。
話し声が聞こえない程度の距離で紫月に見守られながら、支配人の横に座ったのだった。