「約束したでしょ、死ぬまで傍に居るって。わたししつこいんだからね」
「…ありがとう…」
「佐藤先生が言ってた。嘘をつくときに右上を見る話は御堂くんから聞いたのって。…最初から計算して動いてたなんて、すご…」
「っそれは違う」
「え、」
「…賭けてた。朱里が気付いてくれることに、御堂紫苑と藤宮紫月から同じものを感じるように」
――…御堂紫苑という人物は、柚葉ちゃんの言う“汚い大人たち”の指示で作り出され
彼がいろんなものを犠牲にして演じ抜いてきたものだったという。
人工物を感じさせない、透明感のある特徴的な金髪は黒髪のウィッグで隠し
射抜くようなすみれ色の瞳はカラコンで覆い、眼鏡をかけて。
変に勘付かれないよう靴に細工をし、御堂紫苑と藤宮紫月は身長から異なることを示した。
「…入学式で一目惚れして、朱里のことずっと好きだった。だからこそ巻き込みたくないと思ってた。けど朱里が麗蘭街で絡まれているのを見て、身体が動いた」
「…去年も同じクラスだったけど、全然話してくれなかったよね…?」
「…話したらボロが出ると思ったんだよ」
「ふふっ、なにそれ可愛い」
「…すみれ色が自分のすべてだ、って言った時。こんな運命はもう二度とないと思った」