「朱里ちゃん、それなあに?」
「御守りみたいなものです、身に着けるようにしていて」
「…ふーん?」
なんだろう、この空気。
まばたきをひとつした彼女の目が、据わり始めた気がしてならない。
わたしを見るその顔は、憎悪に満ちている…。
「御守りねぇ。あんまり調子に乗らない方がいいよ」
「…花村さん…?」
「ううんー?こっちの話」
彼女はそう言って微笑むけれど、周りを凍り付かせる空気を纏っているのは変わらない。
「りりかよぉ、随分と不細工な顔つきしてんなァ」
「ちょっと何…、って久米…!」
「あ?発情期か?」
「…うるさいほんとあんた嫌い!じゃあねっ!」
一歩、また一歩とわたしに近付いた花村さんに
圧倒されて何も言えないでいると、わたしの背後から特有の豪快さを持った声が聞こえた。
ついでにデリカシーの欠片も無い発言。
「よぉおみず、生きてたか」
現れたのは、久しぶりの久米ちゃんだった。