紫月さんが持たせてくれたリングに触れる。
…いつもはブラウスの中、素肌につく形でつけていたのだけれど、今日は鏡を見てすぐ分かるように首からさげてみた。
朝会った莉菜には、すぐさま「それどうしたの!買ったの!?」と言われた。ごまかしたけれど、さすがだと思った。
「っ朱里ちゃん!」
「え、」
「もう帰る時間だけど、こんにちはっ」
なんて荷物をまとめながら考えていると、いつの間にか目の前に授業終わりの花村さんが立っていた。
…驚くわたしに笑顔の花村さん。保健室まで付き添ったあの日からちょくちょく話すようになって、今ではわたしを見つけると走って挨拶に来てくれるくらいだ。
足もなんともなかったようで、本当にホッとした。
「こんにちは花村さん」
「もう、りりかで良いって……ば…、」
「…いえいえ!とんでもないです、どうかしましたか…?」
太陽のような笑顔だった花村さんの表情が
いきなり強張ったのが分かって、わたしは無意識に少し首を傾ける。
――…それと同時に動いた視線で、ネックレスを見ているのだと気が付いた。