大通りは、喧騒と煌びやかなネオンに彩られていた。

街の人工的な色彩を冷たく浮かび上がらせるのは、この街特有の空気があるからで。


目の前で行われるキャッチやスカウトという、見慣れてしまった光景に目もくれずお店を探す。

話を聞いてしまったら最後。莉菜も同じ考えを持っていた。



彼女が麗蘭街に足を運ぶ目的は、出会いを求めているからである。

…それ以上でも以下でもない。ただひとつの理由に尽きるのだ。



…莉菜いわく、麗蘭街に住んでいる人は顔つきと目の奥が違うのですぐ分かるらしい。

そして何より十中八九イケメンなんだとか。……まったく莉菜らしい見解だ。


だからキャッチやスカウトなんて微塵も興味はない。以前ファーストフード店で片肘をついて、いちごシェイクを飲みながらそう言い切った彼女には妙な説得力があった。




「あ、ねぇ朱里!このお店がいいっ」