「っ、」
「1名様?っすか?」
「あ…、はい。そうです」
「うぃ」
…神様はよく見ているのか、出迎えてくれたのは凛とした感じではない若者。
……いや、わたしも若者なんですけど。なんだかすごく独特な接客のような気が…、
「あ、あの」
「はい?」
「いつもいる、店員さんは今日は…?」
「あー自分、新人なんで。一緒に働いてる人の名前もよく分かんないんすよー。誰だろ?店長?」
「…そうですか。失礼しました」
「すんませんねー」
…ものすごく軽い雰囲気の彼が苦笑いをしたので、わたしも苦笑いをするほかなかった。
なんか…あの店員さんの丁寧で優雅な応対と佇まいを見ていたからか、拍子抜けしてしまった。
店員さん今日はお休みなのだろうか。
「あ、じゃあここで。お願いしゃーす」
「は、はい…」
そこそこに賑わい始めた店内で、わたしは何の偶然か、莉菜と一緒に来た時と同じ席に案内されたのだった。