…下を向いて考え事をしているからいけなかった。
…マッシュの時に、そして紫月さんに助けてもらった時に、二度と同じことはしないぞと思ったのに。
廊下のつき当たりを曲がったその時、勢いよく人にぶつかってしまったのだ。
「っ…、すみません!!!」
「いっ…ててて、」
「大丈夫ですか!?ごめんなさいっ…!」
「ううん、りりかが急いで走ってたから…」
すぐさまぶつかって転んでしまった女子生徒に手を差し伸べると
わたしより凄まじく小さくて華奢な手が、おそるおそる伸びてきたのだった。
「っミスコンの花村さん…!?」
「え、りりかのこと知ってるの…?あっ、C組のみずきあかりさん!」
「…あ、みずしろです。みずしろ、しゅりです」
「へっ!?うそっ、名前間違えちゃった!?ごめんねぇっ!」
…ヤバいヤバい!わたしなんてことしたんだ!!!
相手は隣のクラスで学年一の美女と評され、昨年度に1年生ながらミスコンで入賞していた花村(はなむら)りりかさんだった。
華奢で可愛らしい見た目と明るい性格で、クラス問わず人気が高い。莉菜も男だったら付き合いたいと言っていた。…確かに。
っそうじゃなくて、わたし本当に何やってんだ…っ!!!