(……あれ…?)



遠慮がちになってしまいながら彼の横の席に座ると

視界の端に見えたものに驚き、思わず凝視してしまう。


御堂くんが右手を動かした時に、ブレザーの裾から見えた白。

それはワイシャツじゃなく、もっと人工的な白で。



「……包帯…?」



わたしがそう言うと、彼はすっとブレザーの裾を正す。



「そう。よく分かったね」

「あ、いや…。巻かれてるように見えたから」

「…水城さん」

「っ、」


「他の人には、ナイショだよ」



――…その微笑みはあまりにも綺麗。

けれど同時に、冷たくて何も宿していない瞳が浮かび上がっている。


女の子たちがピアスに触れようとした時と、同じ目をしていた。



「…分かった。いきなりごめんなさい」



…多分、触れてはいけないことだった。

これ以上の詮索は許さないと、雰囲気だけで言い切られているようだった。



(……似てる…)




――…麗蘭街のひとたちみたいだと、思ってしまった。