えっ?! 一緒にって……嘘でしょ?


この何ともいえないくらい美しい夜桜を、2人で見ながら帰るってこと?


「あ、あの……は、はい」


何も考えられなくて、とりあえず返事はしたけど……


でも、こんなことあっていいの?


めちゃくちゃ嬉しいけど、やっぱり信じられないよ、総支配人と2人きりで帰るなんて。


やだ、急にドキドキしてきた。


それからしばらく、私達は何も言わずにただ桜を見ながら歩いた。


とても、ゆっくりと……


そして数メートル進んだ時に、総支配人がポツリと言ったんだ、


「何か食べたい。マンションの近くで食事しないか?」って。


聞き間違いだと思った。


食事しないかなんて、一体、誰に言ってるの?


まさか……私?


「黙ってるってことはいいんだな」


「あ、あの、私と一緒に2人で食事をするってことですか?」


「当たり前だ。他に誰がいる?」


確かに誰もいない、そんなことはわかってるんだけど……