声優の、お手伝いって………
「え!?私が!?」
「他に誰がいんの」
「なんで私!?私素人だし…」
「…」
「こういうのは、六花ちゃんとか……ほら、葵くんとかは?」
「六花は忙しいし、葵も部活あるから。佐伯さん暇でしょ」
「………暇だけど…」
そういう問題じゃないっていうか…
「て、手伝いって何するの?セリフ合わせとか?」
「まぁ、そんなとこ」
「私じゃ役に立たないと思うよ?」
「大丈夫。そんな期待してないから」
グサッと胸を抉られる。
そりゃ、期待されても困るけどさ…
「私でいいの?」
「だから、佐伯さんがいいんだって」
「…分かった。それで役に立てるなら」
「ありがとう」
そう言った赤澤くんは、心做しか嬉しそうだった。
「セリフ合わせ付き合うって言っても…私この漫画読んだことないから、まず全巻読んでみたいな」
ドサッ
「それじゃ、はい」
机に置かれた漫画。
「……これ、全巻で何巻?」
「45かな。頑張ってね」
「…」
机から溢れ落ちそうな漫画を見て、気が遠くなる。
こんな長編だったとは…
とりあえず1巻を手に取り、漫画を読むために集中する。
思った以上に面白くて、私は時間を忘れて漫画に夢中になった。