古めかしい暗色のローブを着た人が、だんだんこちらに近づいてきて、やっと誰だか判明できるようになって……ああ、あの人だ!
「冷蔵庫の人!」
「は?」
 待て私。うっかりにしろもっとほかの呼び方があったでしょ。そりゃまあ、たしかに冷蔵庫は作ってくれたけど、そうじゃない。
 焦るな焦るな。
「スプルース様!」
「……なんだ」
 一瞬頬を引きつらせたけど、またもとの無表情に戻ったスプルース様。暗い緑色の瞳がこっちをじっと見てくるからなんか怖い。
 いや、今はビビっている場合じゃない!
「敵が、庭園の上空に現れました! 竜王様はヴァヴェルがとかおっしゃっていましたが」
「ああ、いつものか」
 クールな反応ですが、そんな悠長にしている場合じゃないと思います。
「今、竜王様とバーガンディーさんが応戦しています」
 見えるかどうかわからないけど庭園の上空を指さすと、意外と冷静なまま外を見ました。