19・敵現る
 穏やかないつもと変わりない日が、上空に現れた敵のせいで一変。竜王様は迎撃に、バーガンディーさんとともに飛び立っていきました。
 ぐんぐんスピードを上げて飛びつつ黒竜に変化していく竜王様と、人型そのままのバーガンディーさん。
 まさか、ペットだと思っていた竜が、実は竜王様ご本人だったとは。陽光にきらめく漆黒の竜の、なんてかっこいいこと!
 ……って、見とれている場合じゃなかった。え? 私はどうすればいい?
 空を見上げれば、竜王様とバーガンディーさんに対して、向こうは無数。多勢に無勢。
「そうだ、味方を呼んでこなくちゃ!」
 私はお城に向かってダッシュしました。
「近衛さんか、見張りの騎士さんか……ええい、誰でもいい!」
 バンッと勢いよく扉を開けて城内に駆け込んだものの、こんな時に限って誰もいないなんて……。騎士さんたちがどこにいるのかもわからないし……とりあえずトープさんに相談するしかないでしょう。
 私が厨房に向かって走り出した時、誰かがこちらにやってくるのが見えました。