でも、どうしてうそなんか……。
岸田くんの考えていることがますますわからなくなる。


「あ、そういえばストラップ渡すの忘れてたね。
はい、これ」

「あ、ありがとう……!」


ようやくお気に入りのストラップが返ってきて安心する。

それでも拾ってくれたのは岸田くんのため、ちゃんとお礼の言葉を伝えた。


「どういたしまして。
これから同じクラスメイトとしてよろしくね」

少し上機嫌にも見える岸田くんは、その言葉を残して自分の席へと向かっていった。


見た目は少し怖そうだったけれど、不注意でぶつかってしまった私を責めようとせず、もしかしたら優しい人なのかもしれない。

なんて思いながらも、いまいち岸田くんの性格がわからないでいた。