君が忘れた先でまた出会う



《アイラ》



「……ただいま」  
 


私は古びたドアを力強く開ける。

その反動で、ドアがバタンッと大きな音をたてて閉まる。

壊れるから静かに閉めないといけないんだけど……。

感情が抑えられなかった。




「おかえり、アイラ。ご飯もうすぐできるから」




玄関のすぐ横にある小さな台所から声が聞こえる。

……(れん)だ。




「食べたくない」

 


学校の「アイラ」からは想像もつかないような冷たい声。

ただただ感情のままに話す言葉。

もちろん、笑顔なんてない。

……これが本当の私よ。





「まーだ今日のこと引きずってるのか?」


「うるさいっ、黙ってよ」


「はいはいー、とりあえずご飯は食えよ」




蓮は机の上に夕飯を並べていく。

今日は、私の好きなハンバーグだ。

……食べるしかない。



私は静かに椅子に座る。

小さな机には美味しそうな料理が勢揃い。

やっぱり、蓮はすごいな。

蓮は私の目の前に座る。

いつも通りの二人だけの食事。



「いただきまーす!」

「いただきます……」



食欲はなかったけど、蓮の料理は美味しいからどんどん箸がすすむ。

安心する味だな。

私の母親の味は、多分蓮の料理なんだろうな。



「どう?」


「ふつう……」




私は冷たく言う。

ウソ……本当はすごく美味しい。

だけど、素直にそう言う気分じゃない。

……私はこの家ではわがままだ。