……そんな……そんな……光くん……。

 しばらく走った後、私はゆっくりと足を止めた。

 ……今のは……夢……?
 ……そうだよね……夢だよね……?

 だって人気(ひとけ)が無い場所とはいっても、光くんを見かけたのは大学の敷地内。
 だから、そんなところでそんなことをするわけがないと思う……思いたい……。

 …………。

 ……けれど……。

 ……違う……。
 ……やっぱり夢じゃない……。

 ……確かに……。
 確かに光くんは……。

 ……光くんは……。

 ……町田さんと……。

 ……キ……ス……を……して……いた…………。

 ……光くんが……町田さんと…………。

 ……確かに……確かにあれは見た限りでは町田さんの方からだった。

 ……でも……でも、だからって…………。

 …………。

 ……え……?

 ……なに……?

 ……なんで……私……。

 ……どうして……こんな……。

 ……こんなにも……。

 ……こんなにも…………苦しいの……?

 ……なんで……なんで……こんなにも……。

 ……こんなにも…………。