渡り廊下を進んでいたら、外で活動しているサッカー部員の姿が見えた。

あ、西河だ。

ここからだと顔はほとんど見えないけど、雰囲気だけでわかっちゃうところがずっと見てきた証拠。

どんなところにいたって、ピンと立てたアンテナが見つけてしまう。

好きになったのは中学三年生のとき。

体育祭でリレーのアンカーをしてた西河に一目惚れした。

ひとりでビリから二位までグーンと順位を上げて、最後に笑顔でゴールした西河は、きっとあのとき誰よりも一番目立っていた。

途中で転けてビリになる原因を作ったメンバーへの労いの言葉も忘れず、みんなで盛り上がって楽し。

その笑顔にドキドキして、目が離せなかったんだ……。

遠くから姿を見るだけでも胸が疼いて痛い。

あの日のふたりの姿が頭に焼きついてる。

穂波とうまくやってるのかな……。

クラスメイトや友達を労れる西河なら、彼女っていう特別な存在にはもっと優しいよね。

立ち止まって眺めていると、背後にふと人の気配がした。