上条?

上条、上条。

誰だっけ?

「ふわふわした髪の毛とか、めちゃくちゃそそる」

ふわふわ……。

あー、あいつね、上条って。入学式の。

「か弱くて押しに弱そうだし、迫れば簡単にヤれそうじゃない?」

「声もかわいいし、いいよなぁ」

なに言ってんの、こいつら。

なに軽く見られちゃってんの、上条サン。

だめじゃん。

ふわふわしてる場合じゃないよ。

もっとしっかりしなきゃ。

「今度機会があったら迫ってみろよ」

「おー、いいね。怯えた顔とか絶対かわいい!」

「やめろよ、そういうの」

もう少しでクリアできそうだったのに、気づくとスマホを机に置いていた。

「なんだよー、高瀬」

「モンクでもあんのかよ?」

「無理に迫るとか、押しに弱そうとか。カッコよくないっつってんの」

正論をぶつける自分に自分でビックリ。

そういうことを言われるのも言うのも苦手なのに、口が勝手に動いていた。