こういうところがそうだって言いたかったのかな。

わたしには見えてなかっただけだったのかもしれない。

ううん、見ようとしていなかったのかも。

穂波はすごいんだという勝手なイメージを作り上げて、(あが)めて、(たた)えて、憧れて。

そういう意味では、わたしもあの子たちとなんら変わりないんじゃ……?

「穂波……わたし」

「環ぃ……ごべん、ほんと……っ」

「そう何度も謝らないでよ。あ、そうだ。スマホ。あとランチバッグも……」

「う、ううっ、ごめんね……ごめん、ね」

「……っ」

切羽詰まった穂波の声に、胸が締めつけられて苦しい。

なんの『ごめん』なのかは、聞き返さなくてもわかった。

切ないね。

同じ人を好きになったわたしたちって。

笑って応援できたら、どれだけよかったか。

「もう、いいよ……」

ううん、ちがうね。

「わたしも悪いから謝らなくていい」

目にいっぱい涙をためた穂波がまっすぐにわたしを見る。

必死に歯を食いしばってるのを見て、思わず抱きしめ返した。