ブロッサムには、人の心を癒す能力を持ってて、何気ない会話をするだけで、心が軽くなるんだ。

「……それは、良かったです……さて、そろそろお別れですね」

気が付くと、ブロッサムの姿が薄れている。そのまま、ブロッサムは消えていった。

「……」

空を見上げた私はふっと笑うと、歩き始めた。




夜。

私は、小説を書いていた手を止めて、外を見た。

空では、綺麗な満月が輝いている。

「……あのね。私……」

ベランダに出ると、私の家の前に咲いている桜を見てから、月を見上げた。

「私、あんたが居なくても生きていけるよ。最初は、自殺しようか、とか考えていたけど……でも、私はあんたの分まで生きる。空から見守っててね」

そう言って、私は月に向かって微笑んだ。