私の原稿は、彼に納得してもらえるだろうか。

彼から学んだことを私のような女性たちに送りたい。そして彼を知らない人が、彼の存在を知ってほしい。

その夜、久しぶりに彼からメールが届く。

【どうだ?原稿の方は?】

相変わらずそっけないなと思いながらも心は浮き立っていた。

【ようやく入稿しました。来週にも初稿があがってくると思うのでまたスキャンしてお送りします】

【変な奴に嗅ぎまわれてはいないか?少しでも妙なことがあればすぐに連絡をしてこい】

【今のところ大丈夫です。ありがとうございます】

【全ての仕事が終わったらゆっくり会いたい。また時間を空けてくれ】

【はい】

メールのやりとりはそれで終わったが、その後ニヤニヤがとまらない。

会いたい……だって!

私も今すぐにでも会いたい。

そしてぎゅっと抱きしめてもらいたい。

あー、なんて幸せなんだろう。たった一つの疑問を残す以外は何の不安もなかった。

そう、結局未だに聞けずにいる、彼の夢に出てきた人物。

次に会った時、必ず聞こう。

夢の話なんてきっと覚えてないかもしれないけれど、気になっていることはさっさと潰してしまいたい私の性格はどうしようもない。

そんなささいなことが気になるなんてことも今まではなかったのに、恋をするとこんなにも色んな感覚が変化するんだ。

それは新しい私の発見でもある。

こんなにも不釣り合いな私達はこれから先どうなっていくんだろう。

今の私には全くと言っていいほど不安はなかった。

どんな結果になったとしても、今彼さえそばにいてくれれば、何でも乗り越えられると思っていた。