「すまない。汗でぐっしょりだったし、さすがに下着は脱がせるわけにはいかなかったから苦肉の策だった。明かりは点けずに手探りで着替えさせたから何も見ていない。これは本当だ」

いつも冷静な彼がやや頬を赤らめ珍しく慌てた様子で説明している。

その様子を見ていたら恥ずかしい以上にそんな彼が新鮮で思わず吹き出した。

とりあえず、紳士的に暗闇の中で着替えさせてくれたってことは偽りがないと感じた。

「じゃ、レストランで酔いつぶれた私のことは、取材に関する判断からは除外してもらえますか?」

ちょっと優勢に立った私は笑いを堪えながら彼に交渉してみる。

「もちろん。もともとそんなことは考えてない」

「よかったです。じゃ、今回のことはお相子ってことで。すぐにシャワー浴びてきます!」

私はくすくす笑いながら、着替えを持ってシャワールームに急いで向かった。

あんな錦小路社長の顔初めてだ。

なんだか得した気分になる。きっと社員の誰もがあんなにあたふたした彼のことなんか見たことないだろう。

彼女さんは見たことあるのかもしれないけれど……。

シャワーの蛇口をひねるけれど、はなかなか熱い湯が出なかった。

ようやく出たと思ったらすぐに冷たい水になるの繰り返し。

なんとか全身洗い終えて急いで着替えを済ませ、彼の待つ部屋に戻った。