今日はバレンタイン当日。土曜日と重なっているので休みの方々はカップルで過ごすのかな?サービス業なので勿論、私は仕事。

エグゼクティブフロアは賑わっているけれど、クリスマス程ではなさそう。ホワイトデーの方が男性から予約を入れたりして混み合うのだろうか?

エグゼクティブラウンジのスイーツコーナーにはガトーショコラや生チョコも並び、専用ラウンジではチョコリキュールを使ったカクテルをサービスしていたりと正にバレンタインならでは。

美味しそうだし、可愛いらしいと目を輝かせているとパティシエの方に味見を頂いて至福のひと時を過ごす。

「篠宮さん、何でラウンジに居るの?」

「あ、えっと…」

高見沢さんに無駄にラウンジに出入りをしているのを見つかり、注意を受ける。現在、ラウンジはカクテルタイムに向けて準備中。特に用事はなかったのだが、吉沢さんにバレンタインバージョンの可愛いスイーツを見に来て!と言われて、のこのこ着いてきただけなのである。

「篠宮ちゃんにバレンタインスイーツを見せたかっただけなんだ。ラウンジも今は準備中だし、私が誘ったんだから怒らないで!」

高見沢さんに注意を受けていると吉沢さんが出てきて、私をかくまってくれた。吉沢さんに言われて、高見沢さんが渋々と退散するのと同時に私も一緒に着いて行った。

「高見沢さん、すみませんでした。勤務中なのに…」

「多少のサボりは構わないけど、居ないから探したんだ。実は…」

高見沢さんは怒ってた訳では無いらしく、深刻そうな顔をして私に話をしてきた。