「あのふたり、こけなきゃいいけど」

おもむろに立ち上がった持田さんが、独り言なのか私に話しかけたのか、小さな声でそうつぶやいたとき、三位だったペアが村田さんと野宮さんの横を颯爽と追い越していった。

そのあとも、フラフラ走るふたりを四位と五位のペアが抜いていく。

あっという間に、私たちのチームは最下位になっていた。

バトンゾーンに接戦で滑り込んできた一位と二位のペアが、私たちの隣で次の走者にバトンを繋いでいく。

「あんまり早く結ぶ必要なかったねー」

五位のペアすぐ後ろを頑張って走ってくる村田さんと野宮さんを見て持田さんが苦笑いを浮かべる。

でも、私たちがバトンをもらうのだってもうすぐだ。

持田さんと準備をして待っていると、バトンゾーンの手前で、村田さんの足がもつれてよろけた。

バランスを崩した村田さんに引っ張られるようにして野宮さんもよろけ、ふたりが勢いよく前に転倒する。

「あ……」