青春ヒロイズム



「友ちゃん?」

「そう。前に話した深谷 友ちゃんだよ。小学校一緒だった」

可愛い女の子がつぶやく声に、村田さんがすぐさま反応する。


「あー。なんか見たことある感じの子だなーって思った。ひさしぶり、深谷さん。私、岸本(キシモト)愛莉(アイリ)。覚えてるかな?」

綺麗に微笑みかけてくれた彼女の顔を見て、私は小さく頷いた。

岸本さんは、学年でも可愛くて有名な子だったのもあってよく覚えている。

昔から可愛かったけど、高校生になってさらに大人っぽく綺麗にもなっているから驚いた。

たぶん、名乗られなかったら彼女が岸本さんとは気付かなかったと思う。


「智香が言ったみたいに、深谷さんも一緒に行く?」

私たちのグループのベンチをさりげなく見渡した岸本さんは、たぶんひとり取り残される私を気遣ってくれたのだと思う。


「え、っと……」

まさか誘ってもらえるとは思わなかったけど、村田さんに誘われた時点で行くつもりはなかった。