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「ナルは全治三ヶ月の足の骨折で、病院に運ばれた日に緊急で手術も必要な大怪我だった。わざとじゃなかったの。でも、そんなのただの言い訳にしかならない。当然だけどナルのお母さんはものすごく怒ってしまって。学校や周りからの私に対する目も日に日に厳しくなっていって……」
ナルを怪我させたことによって、森ちゃんに対する嫌がらせの主犯は本当は私だったんじゃないのかとか。
怒ったナルのお母さんの学校側への訴えで、いろいろ憶測がたてられて。事実もねじ曲げられてしまって。
「結局私が、学校を辞めて逃げ出すことでいろいろ落ち着いたの。そんな感じで、星野くんの聞きたかった話はおしまい」
全て話し終えてから、ふふっと自嘲気味に笑うと、星野くんが険しい顔で私のことを見ていた。
笑って誤魔化してみたものの、私の話を聞いた星野くんがどう思っているのか知るのが怖かった。
感情的になって、ナルに大怪我をさせて、そのまま学校を辞めることになって。きっと、最低だって呆れてるだろう。
「怪我した今西には気の毒だけど、それ、深谷が100%悪かったの?」
「え?」



