「カナキ、ほんとに覚えてねーの?深谷って、昔よくカナキのこと― ―……」
「星野くんだっけ?あなたの言うとおりだよ。小学生の同級生ってたくさんいたし。私は中学も地元じゃなかったし。私も、あなたのこと全然覚えてない」
何か話そうとしていた石塚くんの言葉を、強い口調で遮る。
その瞬間、その場の空気が凍りついた。
笑顔が崩れる村田さんと唖然とする石塚くんのそばで、星野くんがゆっくりと私のほうに冷めた視線を向ける。
自分で感じの悪い態度をとったのに、星野くんの冷たい視線に胸が痛くなるくらい傷付いていた。
たっぷり数秒私を見つめてから、星野くんが口を開く。
「だって。智ちゃん」
響いたその声は、私が知っている星野くんのものとは思えないくらい、ひどく冷たかった。



