青春ヒロイズム



「深谷?」

みるみる青ざめていく私を星野くんが気遣わしげに見つめる。

その様子を見つめるナルの瞳は、心底愉しそうに意地悪く輝いていた。


「やっぱり、知らないんだ。言えるわけないよね。その理由が────……」
「やめて!」

前の学校を辞めた理由。そんなこと、星野くんに知られたくない。

焦った私は、気が付くと、ナルの肩を強い力でつかんでいた。

乱暴に肩を揺さぶられたナルは、驚くことも怒ることもせずに冷静な顔で私を見ている。


「友、いいの?また傷害事件起こしちゃったら、今の学校にもいられなくなっちゃうかもよ?」

ナルが口端を引き上げて、頭を少し傾ける。


「や、めて」

「それはこっちのセリフだよ。それに、もう星野くんもわかっちゃったんじゃないかな?友が前の学校を辞めた理由」

恐々振り向くと、星野くんが私たちを見て大きく目を見開いている。