「ほら、もういいじゃん。カレシまで来てくれてこんなに謝ってるんだし」
隣の女の人の説得に、男の人がようやく頷いた。
「わかったよ。だけど次から気を付けろ」
「はい、すみません」
星野くんの横で私も深く頭を下げる。
男の人は私たちのことをひと睨みしてから、女の人に引っ張られるようにして行ってしまった。
「なに面倒くさそうなやつに絡まれてんだよ」
男の人が完全に立ち去ったのを確認した星野くんが、私をジロリと睨んでくる。
星野くんのトゲのある言い方が引っかかるけど、彼が来てくれなかったら私はあの人に許してもらえなかったかもしれない。
「ごめん」
悔しいけど、仕方ない。
ボソリと小さな声で謝ったら、星野くんがわたしから顔を背けて深いため息をついた。
星野くんにこれ以上愛想を尽かされなくて離れたのに、結局余計な迷惑をかけてしまった。
今日はもう何度目になるかわからない星野くんのため息に、気持ちが沈む。
落ち込んでうつむいていると、星野くんがすっと私の手をとった。
「お前、やっぱり手がかかるわ」
「え?」



