星野くんと一緒にいるべきじゃないと思ったから離れたのに。
格好悪いところを見せたうえに助けられてしまうなんて。私は何をしているんだろう。
「深谷って、しっかりしてそうに見えて結構手がかかるよな」
「面倒だって言いたいんでしょ?」
星野くんに呆れ顔で笑われてつい捻くれた言葉を返すと、彼が私を数秒見つめてから諦めたようにため息をついた。
「そう思いたいならそう思っとけばいいよ。で、トイレどうすんの?漏れそうなんじゃなかった?」
「こ、こんなとこで女子にそんなこと聞かないでよ!」
「先に大声で俺にトイレ宣言したのは深谷だろ」
人目を気にして顔を赤くする私を、星野くんがこれ以上ないくらい呆れた目で見てきた。
「トイレじゃないなら、戻るぞ」
星野くんがため息をつきながら、私の手を引いて土手を上がろうとする。
本心はわからないけど、星野くんの横顔はとても気怠そうだ。



