「憲と竜馬に連絡入れとこう」
スマホを出してメッセージを打ち始めた星野くんが、その場にしゃがむ。
つられるように私も彼から一人分の間隔を空けて腰を落とした。
「みんな、もうすぐこっちに向かうって」
星野くんがスマホを弄りながら私に話しかけてくる。
その言葉に頷くと、私たちはまた無言になってしまった。
花火開始の時間が近付いて、空はもうかなり暗くなってきている。
それでも、私たちがここまで歩いてきた道には、花火を見る場所を求めて歩く人たちがまだまだたくさんいた。
友達同士だったり、恋人同士だったり、家族連れだったり。
ガヤガヤとした意味を持たない音となって聞こえてくるその人たちの話し声は一様に明るく楽しげだ。
同じように土手に座って花火が始まるのを待つ周りの人たちからも、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そんななかで中途半端に距離を取って無言で座っているのは結構気まずかった。



