唐揚げを齧りながら歩く私と星野くんは、終始無言だった。
お互いに唐揚げを食べている間はあまり沈黙が気にならなかったけれど、一緒に付いていたポテトをふたりで摘み、それぞれお茶を飲んだところで、星野くんとの間に流れる沈黙が気になり出した。
「人、増えてきたね」
「そうだな」
考えに考えてようやく口にした言葉では全く会話は広がらず。
短くあっさりとした星野くんの相槌であっさりと終了してしまった。
隣を気にしてドキドキしながら歩き続けていると、星野くんが不意に足を止める。
そのあたりは、道の側面が緩やかな勾配の土手になっていた。
傾斜があるから花火が見えやすいのか、たくさんの見物客が座って場所を取っている。
「場所、この辺にしとく?」
「うん、そうだね」
ここなら屋台がある場所からそれほど離れていないし、村田さんや岸本さんとも合流しやすそうだ。



