星野くんと並んだ唐揚げの屋台の前にもやっぱり長蛇の列ができていて、十分以上並んでようやく唐揚げとポテトが買えた。
お金を払い終えてちょうど屋台から離れようとしたとき、星野くんのスマホに電話がかかってきた。
「あ、憲からだ」
通話ボタンを押して話し出す星野くんの横でおとなしく待っていると、しばらくして通話を終えた彼が私を見て眉を顰めた。
「なんか憲たち、他の屋台も並んでんだって。もうちょっと時間かかりそうだから、適当に花火見る場所取っとけって」
「そうなんだ。岸本さんたちは?」
「さぁ?憲のとこにはまだ連絡ないみたい」
「そう、なんだ」
村田さんたちの分の唐揚げとポテトも買ったけど、冷めちゃいそうだな。
余分に買った唐揚げの袋に視線を落とすと、星野くんが私の手からそれを奪った。
「先食べる?腹減った」
袋から唐揚げの串を一本取って私に差し出す。
「ん。食いながら花火見れる場所探そう」
「うん」
もうしばらく、星野くんとふたりなんだ。
ちょっとドキドキしながら、星野くんから唐揚げを受け取った。



