「あ、憲ちゃんたち来たよ」

村田さんの声に顔を上げると、ちょうど槙野くんたちがこっちに向かって歩いて来るところだった。

外で学校の男の子たちと……特に、星野くんと顔を合わすのは緊張する。

だいたい、まさか夏休みにこんなふうに星野くんに会うことがあるとは思ってもみなかった。

だけどそんなふうに堅くなっているのは私だけで、他のみんなは学校で会うのと変わらない雰囲気だった。

きっと、このメンバーで集まり慣れてるんだよね。

そう思ったらますます、肩身が狭くなる。


「おー、今日はみんな浴衣?いーじゃん」

石塚くんが岸本さんに近づいていって、彼女の浴衣の袖を軽く摘んでひらひらさせる。


「でしょ?可愛すぎてナンパされたら助けてね」

「それはねぇわ。てか、自分で言う?」

岸本さんの冗談交じりの言葉を、石塚くんがケラケラと笑い飛ばす。

いや。メイクもして、浴衣で倍増しに可愛くなってる岸本さんは、充分他の男の子に声かけられる可能性があると思うけどな。

この三人の中で、一番「それはねぇ」のは私だよね。