#豊の不倫#
結婚して2年目の記念日。
私たち夫婦は高級ホテルを予約していた。
夕食を済ませホテル内にあるBARに向かう。
「2年目の結婚記念日おめでとー」
ワインで乾杯をする。
「色々あったけどそろそろ本気で妊活頑張ろうか?」
その言葉に私は俯いた。
「ゆう?」
顔を上げゆっくりと返事をする。
「ごめん…まだ仕事続けたいからもう少しタイミング見たいかな」
「そっか!分かった。俺にはゆうがいない人生なんてあり得ないから。それだけは頭に入れといてね」
なぜこのタイミングでそんなことを言うのか私には理解出来なかったけれど、妙に胸騒ぎがした。
私たちは長々と思い出話しをし、豊は酔い始めてきていつの間にかそのまま寝てしまった。
私は色んなことを考えながらごくごくと飲み干す。
プルプルプルッ…
豊の携帯が鳴り、着信名を見てみると、見覚えのない女性の名前だった。
豊は絶対に浮気する人ではないと勝手ながらに信じて疑わなかった。
なかなか鳴りやまず、豊を揺さぶってみたが全く微動だにしない。
鳴りやんだと思ったら、今度はLINEの連発。
結婚記念日のお祝いの連絡なのかな?と、そんな風に思って顔がほころぶ。
それが勘違いだとも知らずに。
それから何度か同じ名の女性からの着信は続いた。
それでも豊は全く起きる気配すらなくぐっすり眠っていた。
付き合っている時からお互いの携帯は見ないと了承済みだったため、お互いに携帯のロックをかけてはいない。
それからも5分間隔で着信があるためさすがに私も不審に思ってきた。
もしかして豊の友人関係で問題でも起きたのではないか?
そう思って、鳴りやまない電話に出てみることにした。
「…もしもし」
すると、電話の女性は驚いたかのようにしばらく応答がなかった。
私は一瞬でこの状況を察した。
電話を切る気配がなかったため、私から話し掛けてみる。
「あの…豊のご友人さんでしょうか?」
その女性はオドオドした声で「ごめんなさい」と一言発した。
私が電話に出てしまうという意外な展開に彼女も動揺を隠せないでいるのだろう。
その場で電話を切ることも出来たはずなのに、切らないで私に謝った彼女はきっと誠実な方なのかもしれない。
私はなんとなく感じてはいたがあえて自分からは何も聞かなかった。
「豊は寝ています」と伝えた。
「豊には内緒で後日2人で会えませんか?」
豊…か。
「いいですよ」
電話越しではお互いに深い話をすることはなかった。
そして何事もなかったかのように朝を迎え、何事もなかったかのように仲良くデートを楽しんだ。
それから1週間くらい経った頃、あの時の女性からお誘いの着信が入った。
この1週間の間、豊は怪しい素振りは全くなかった。
私の勘違いなのかもしれない。
約束の日になり待ち合わせ場所のカフェに一足先に着いた。
そしてすぐにその女性は現れ、私を見付けるなり深々く頭を下げてきた。
その女性は小柄で誰が見ても清楚な可愛らしい女性。
頭を上げてもらいソファーに座らせる。
私は意外と落ち着いていた。
「えーと…なんと申し上げたら良いか…」
今にも泣いてしまいそうなか弱い声。
「豊とは親しい間柄で?」
「ごめんなさい…」
深く頭を下げ彼女の瞳から一粒の涙が流れた。
やはり私の勘違いではなかった。
彼女いわく、私と豊が結婚して1年経ったあたりに2人はお付き合いを始めたらしい。
豊が既婚者であることを知りながら交際を始めたことに、何度も何度も謝罪をされた。
彼女の本当にすまなそうに謝る姿を見て、心から反省をしているように私の目に写り、私は一切怒ることはなかった。
何故なら、妻の資格はあっても怒る資格はないのだから。
「どうして、私にバレそうな夜中に電話してきたの?」
「えーと…あの日豊さんから「別れよう!」ってLINEが来てて、気が動転してしまいどうしても電話で話がしたくて…奥さんが寝てるであろう時間帯に電話かけてしまったんです」
「そっか…正直に話してくれてありがとう。あの日はね、私たちの結婚記念日だったの」
それを聞くと彼女は、声を押し殺して泣き崩れた。
そんな日に別れを告げられた彼女。
罪悪感と悔しさが入り混じってしまったのだろう…
同じ女として同情を禁じ得なかった。
そして、彼女が少し落ち着きを取り戻し、
「ごめんなさい…あなたの前で涙を見せるなんて私不謹慎でしたね…取り乱してしまい、すみませんでした」
「いえ、気持ち分からなくもないので。私たちが会ったこと豊には内緒にしましょう。これはあなたと豊の2人のことなので、私は無闇に止めたりしませんし今後のあなたの人生に悔いが残らないやり方でやっていってください」と伝え、席を後にした。
普通の夫婦ならあり得ないことかもしれない。
旦那の不倫相手に会う機会があるのであれば、修羅場になって別れさせるのが普通だと思う。
私自身も不倫をしている立場で、好きになってはいけない人と頭では分かっているのに心が言うことを聞いてくれない。
止められない時があるということは身に染みて分かる。
落ち着いているからこその対応ができたと、私の中では正解だったと思っている。
都合の良いことを言うならば、私が不倫をしている罪悪感から少しは肩の荷が下りたということ。
ただ疑問に思うのが、豊はいつ彼女と会っているのかと。
思い巡らしてみると、豊が彼女と会う時間は私が社長と会っている時しかない。
それしか思い当たらなかった。
「家にいてゆうと一緒にいることが一番の幸せ」と言って、自分からは決して仕事終わりに出掛けることはない。
そんな妻思いの真面目な人が不倫をするということは、私が豊を放置してしまい知らず知らずのうちに社長ばかりになっていたのかもしれない。
そう考えれば、豊にどれだけ寂しい思いをさせていたのかと思うと、今更ながらに心苦しくなった。
結婚して2年目の記念日。
私たち夫婦は高級ホテルを予約していた。
夕食を済ませホテル内にあるBARに向かう。
「2年目の結婚記念日おめでとー」
ワインで乾杯をする。
「色々あったけどそろそろ本気で妊活頑張ろうか?」
その言葉に私は俯いた。
「ゆう?」
顔を上げゆっくりと返事をする。
「ごめん…まだ仕事続けたいからもう少しタイミング見たいかな」
「そっか!分かった。俺にはゆうがいない人生なんてあり得ないから。それだけは頭に入れといてね」
なぜこのタイミングでそんなことを言うのか私には理解出来なかったけれど、妙に胸騒ぎがした。
私たちは長々と思い出話しをし、豊は酔い始めてきていつの間にかそのまま寝てしまった。
私は色んなことを考えながらごくごくと飲み干す。
プルプルプルッ…
豊の携帯が鳴り、着信名を見てみると、見覚えのない女性の名前だった。
豊は絶対に浮気する人ではないと勝手ながらに信じて疑わなかった。
なかなか鳴りやまず、豊を揺さぶってみたが全く微動だにしない。
鳴りやんだと思ったら、今度はLINEの連発。
結婚記念日のお祝いの連絡なのかな?と、そんな風に思って顔がほころぶ。
それが勘違いだとも知らずに。
それから何度か同じ名の女性からの着信は続いた。
それでも豊は全く起きる気配すらなくぐっすり眠っていた。
付き合っている時からお互いの携帯は見ないと了承済みだったため、お互いに携帯のロックをかけてはいない。
それからも5分間隔で着信があるためさすがに私も不審に思ってきた。
もしかして豊の友人関係で問題でも起きたのではないか?
そう思って、鳴りやまない電話に出てみることにした。
「…もしもし」
すると、電話の女性は驚いたかのようにしばらく応答がなかった。
私は一瞬でこの状況を察した。
電話を切る気配がなかったため、私から話し掛けてみる。
「あの…豊のご友人さんでしょうか?」
その女性はオドオドした声で「ごめんなさい」と一言発した。
私が電話に出てしまうという意外な展開に彼女も動揺を隠せないでいるのだろう。
その場で電話を切ることも出来たはずなのに、切らないで私に謝った彼女はきっと誠実な方なのかもしれない。
私はなんとなく感じてはいたがあえて自分からは何も聞かなかった。
「豊は寝ています」と伝えた。
「豊には内緒で後日2人で会えませんか?」
豊…か。
「いいですよ」
電話越しではお互いに深い話をすることはなかった。
そして何事もなかったかのように朝を迎え、何事もなかったかのように仲良くデートを楽しんだ。
それから1週間くらい経った頃、あの時の女性からお誘いの着信が入った。
この1週間の間、豊は怪しい素振りは全くなかった。
私の勘違いなのかもしれない。
約束の日になり待ち合わせ場所のカフェに一足先に着いた。
そしてすぐにその女性は現れ、私を見付けるなり深々く頭を下げてきた。
その女性は小柄で誰が見ても清楚な可愛らしい女性。
頭を上げてもらいソファーに座らせる。
私は意外と落ち着いていた。
「えーと…なんと申し上げたら良いか…」
今にも泣いてしまいそうなか弱い声。
「豊とは親しい間柄で?」
「ごめんなさい…」
深く頭を下げ彼女の瞳から一粒の涙が流れた。
やはり私の勘違いではなかった。
彼女いわく、私と豊が結婚して1年経ったあたりに2人はお付き合いを始めたらしい。
豊が既婚者であることを知りながら交際を始めたことに、何度も何度も謝罪をされた。
彼女の本当にすまなそうに謝る姿を見て、心から反省をしているように私の目に写り、私は一切怒ることはなかった。
何故なら、妻の資格はあっても怒る資格はないのだから。
「どうして、私にバレそうな夜中に電話してきたの?」
「えーと…あの日豊さんから「別れよう!」ってLINEが来てて、気が動転してしまいどうしても電話で話がしたくて…奥さんが寝てるであろう時間帯に電話かけてしまったんです」
「そっか…正直に話してくれてありがとう。あの日はね、私たちの結婚記念日だったの」
それを聞くと彼女は、声を押し殺して泣き崩れた。
そんな日に別れを告げられた彼女。
罪悪感と悔しさが入り混じってしまったのだろう…
同じ女として同情を禁じ得なかった。
そして、彼女が少し落ち着きを取り戻し、
「ごめんなさい…あなたの前で涙を見せるなんて私不謹慎でしたね…取り乱してしまい、すみませんでした」
「いえ、気持ち分からなくもないので。私たちが会ったこと豊には内緒にしましょう。これはあなたと豊の2人のことなので、私は無闇に止めたりしませんし今後のあなたの人生に悔いが残らないやり方でやっていってください」と伝え、席を後にした。
普通の夫婦ならあり得ないことかもしれない。
旦那の不倫相手に会う機会があるのであれば、修羅場になって別れさせるのが普通だと思う。
私自身も不倫をしている立場で、好きになってはいけない人と頭では分かっているのに心が言うことを聞いてくれない。
止められない時があるということは身に染みて分かる。
落ち着いているからこその対応ができたと、私の中では正解だったと思っている。
都合の良いことを言うならば、私が不倫をしている罪悪感から少しは肩の荷が下りたということ。
ただ疑問に思うのが、豊はいつ彼女と会っているのかと。
思い巡らしてみると、豊が彼女と会う時間は私が社長と会っている時しかない。
それしか思い当たらなかった。
「家にいてゆうと一緒にいることが一番の幸せ」と言って、自分からは決して仕事終わりに出掛けることはない。
そんな妻思いの真面目な人が不倫をするということは、私が豊を放置してしまい知らず知らずのうちに社長ばかりになっていたのかもしれない。
そう考えれば、豊にどれだけ寂しい思いをさせていたのかと思うと、今更ながらに心苦しくなった。



