「職場では先輩後輩でしょ!」
「すまない。我慢できなかった。でも、荷物運びの用事は本当だ」
もそもそ言い訳する先輩は、次に開き直ったように口調を変える。
「それに、さっきの案件の始末をつけたのは俺だ。少しくらい褒美をもらってもいい……ような気もする」
語尾が小さくなってますよ~。たぶん、自分でもルールを破ってしまったことを反省してるんだろうなあ。
私は背伸びして、先輩の耳元でささやいた。
「ごめんなさいとありがとうとその他もろもろご褒美は、今夜ってことでお願いします」
「ん、夕飯はカレーがいい」
榛名先輩は目元まで赤くしてこくんと頷いた。
イケメンなのに可愛いなあ!抱き締めちゃいたい!
溢れる気持ちをぐっとこらえて、私は段ボールを持ち上げた。榛名先輩は段ボールをふたつ重ねて持っている。
「泊まっていくんだろう?」
「そうしたいですねえ」
「泊まっていけ」
私たちは並んでエレベーターに向かった。
ああ、毎日が楽しい。大好きな人ができて、大好きな人に愛される幸福を知った。もしかして、私って無敵なんじゃない。今なら、空も飛べちゃいそうよ。
でも、調子にのって失敗するタイプだから、隣にいるこの人を大事に大事に地に足をつけて頑張ろう。最初で最後の恋だもの。
そんなふうに思いながら、横を歩く恋人を見あげた。
(おしまい)
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2020.4.15 砂川雨路
「すまない。我慢できなかった。でも、荷物運びの用事は本当だ」
もそもそ言い訳する先輩は、次に開き直ったように口調を変える。
「それに、さっきの案件の始末をつけたのは俺だ。少しくらい褒美をもらってもいい……ような気もする」
語尾が小さくなってますよ~。たぶん、自分でもルールを破ってしまったことを反省してるんだろうなあ。
私は背伸びして、先輩の耳元でささやいた。
「ごめんなさいとありがとうとその他もろもろご褒美は、今夜ってことでお願いします」
「ん、夕飯はカレーがいい」
榛名先輩は目元まで赤くしてこくんと頷いた。
イケメンなのに可愛いなあ!抱き締めちゃいたい!
溢れる気持ちをぐっとこらえて、私は段ボールを持ち上げた。榛名先輩は段ボールをふたつ重ねて持っている。
「泊まっていくんだろう?」
「そうしたいですねえ」
「泊まっていけ」
私たちは並んでエレベーターに向かった。
ああ、毎日が楽しい。大好きな人ができて、大好きな人に愛される幸福を知った。もしかして、私って無敵なんじゃない。今なら、空も飛べちゃいそうよ。
でも、調子にのって失敗するタイプだから、隣にいるこの人を大事に大事に地に足をつけて頑張ろう。最初で最後の恋だもの。
そんなふうに思いながら、横を歩く恋人を見あげた。
(おしまい)
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2020.4.15 砂川雨路



