結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~




「すみませんでした!」

オフィスに響く私の声。目の前には、厳しすぎる表情の榛名先輩がいる。

「何がどうしてこうなった」
「えっと……、私の段取りミスです。クライアントが勘違いしていることに気づかなかったといいますか……」
「いい加減にしろ!」

私は身をすくめて、榛名先輩のお叱りを受ける。うう、またしてもやってしまった。

「ひとり立ちしてこれじゃ、誰も仕事を任せられないぞ」
「すみません」

私は先日、営業としてひとり立ちした。とはいえまだ安定感皆無なので、困ったことは榛名先輩に相談し、用田課長のチェックを受けてはいる身だ。
ああ、反省。確かにこんなミスをしてたら、周りは不安だよね。
しょんぼりデスクに戻ると、隣の席でかほがニヤニヤしている。

「久しぶりの雷じゃん」
「私が悪いでやんす」
「ラブラブだけど、仕事に関してはブレないよねえ」
「うん、彼のそういうとこは助かってます」

私と榛名先輩が再び交際を始めてからふた月。オフィスでは厳しく、プライベートは甘々というギャップライフは続いている。メリハリ効いてていいとは思うけど。

でも、彼女であると同時に後輩として彼に認められたい私としては、怒られてる場合じゃないのよ。
ちゃんとしたい!できる女になりたい!