「俺は誰にだって里乃子のことを自慢できる。可愛くて努力家で、一緒にいて楽しい気持ちになれる。本当は社内でもおおっぴらにしたいくらいだ。悪い虫がつかないように」
「悪い虫なんかつきようがありませんよ」
過大評価甚だしい。だけど、そんなふうに独占欲を見せられるのも悪くないものだ。さらにちょこちょこ真顔で褒めてくる榛名先輩に、私はくすぐったいような喜びを感じてしまう。
無自覚顔面良し男の他に天然女殺しのふたつ名を与えよう。うん。
「店を予約してある。行こう」
まんざらでもなくにやつきを隠すので精一杯の私の手を取り、榛名先輩が歩き出した。
連れてこられたのは六本木ヒルズ内の創作料理のお店だ。さらっとこういうお店に入れるのは、やはり育ちの良さを感じる。この人にとってはラーメン屋も高級店も美味しければ一緒なのね。
お昼から懐石を食べ、身も心も満腹になったところで、腹ごなしもかねて散歩し、美術館へ。特別展で海外の美術館から絵画が来ていたので眺め、常設展も見て回った。
美術館内のカフェテリアで休憩のお茶にする。
「退屈だったか?」
榛名先輩に言われ、私はどきりとしながらも首を横に振った。
「楽しかったです。……普段、こういうところにこないので新鮮でした」
正直に言えば退屈だった。絵とか芸術品を鑑賞することにあまり興味がないし、今日も真剣に見てみようと思ったものの難しい説明書きに立ったままでも眠気が……。申し訳ないから言えないけど。
「悪い虫なんかつきようがありませんよ」
過大評価甚だしい。だけど、そんなふうに独占欲を見せられるのも悪くないものだ。さらにちょこちょこ真顔で褒めてくる榛名先輩に、私はくすぐったいような喜びを感じてしまう。
無自覚顔面良し男の他に天然女殺しのふたつ名を与えよう。うん。
「店を予約してある。行こう」
まんざらでもなくにやつきを隠すので精一杯の私の手を取り、榛名先輩が歩き出した。
連れてこられたのは六本木ヒルズ内の創作料理のお店だ。さらっとこういうお店に入れるのは、やはり育ちの良さを感じる。この人にとってはラーメン屋も高級店も美味しければ一緒なのね。
お昼から懐石を食べ、身も心も満腹になったところで、腹ごなしもかねて散歩し、美術館へ。特別展で海外の美術館から絵画が来ていたので眺め、常設展も見て回った。
美術館内のカフェテリアで休憩のお茶にする。
「退屈だったか?」
榛名先輩に言われ、私はどきりとしながらも首を横に振った。
「楽しかったです。……普段、こういうところにこないので新鮮でした」
正直に言えば退屈だった。絵とか芸術品を鑑賞することにあまり興味がないし、今日も真剣に見てみようと思ったものの難しい説明書きに立ったままでも眠気が……。申し訳ないから言えないけど。



