結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~

翌日、12時に六本木に到着すると、先輩は駅改札で待っていた。

「里乃子、可愛い」

出会って早々に榛名先輩が言う。表情はぽーっとしているし、声は熱心だ。

「そのワンピース、似合っている。髪の毛のも下ろしているといっそう愛らしい」

しきりに褒めてくれる先輩に、私は狼狽えた。感情表現がストレート!

「あの、そんなに可愛くはないです。傑さんの横を歩いていいのかわからないくらいで」
「なぜ?俺の隣を歩くのは嫌か?」
「違いますよ!傑さんが格好いいからです。釣り合わないです」

今日の榛名先輩はジャケットにTシャツ、ジーンズという格好。ジャケットのスリムなラインがよく似合い、スーツより男らしい雰囲気だ。髪も下ろしているので、イケメン指数が増大している。ホント、どうしてこんな格好いい人が私の彼氏なの?
榛名先輩は眉間に皺を寄せて、心外という顔で答える。

「俺は普通だ。里乃子が可愛い」

どの口がそれを言うか!この無自覚顔面良し男め!

「もう、わかってないんですね。傑さんはものすごく女子に人気あるんですよ。そんな男性の隣を歩くんです。釣り合ってないって思われても仕方ないですけど、傑さんまで侮られたくないじゃないですか」

だから、ワンピースを新調して、最低限の身だしなみは整えてきました。とはっきりは言えない。期待し過ぎな感じ出ちゃうもん。
私の答えに榛名先輩がわずかに頬をゆるめた。