結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~

そんなこと言われたってさあ。誰かを好きになったことがない私にとって、優しくしてくれる人イコール好きとはならないのよ。榛名先輩の可愛いところも男前なところも付き合ってから色々見ていると思うけれど、漫画で見るような『好き……キュン』みたいな感覚はわかんないな~。
このままお付き合いしていくうちにわかるのかどうか……。

「ダメダメ、かほ。仕事しよ。プライベートな話はまた今度、居酒屋で」
「もう、はぐらかして。いいけどさあ」

かほをいなして、仕事に戻る。前より失敗は減ったとはいえ、油断すればすぐに榛名先輩に怒られるんだから。

昼休み、スマホを見るとメッセージが入っていた。
榛名先輩からだ。
普段、先輩とはほとんどメッセージのやりとりをしない。帰りが別々になってしまったり、オフィスでそんなに喋られなかった日なんかに、夜メッセージが入るくらい。【お疲れ、よく休め】程度のメッセージだ。
そんな榛名先輩からだ。

【明日の土曜暇か?】
【出かけないか?】

おお!?これって、デートの誘い!?
帰り道にごはんとかじゃなく、休みの日に待ち合わせて遊びにいくの?
おお~恋人同士っぽいなあ~。

【はい。暇です】
【嬉しいです】

私はすぐにぽんぽんとメッセージを送る。
既読はすぐにつく。なお、私は自分のデスクでお弁当を食べながらこのメッセージを打ってる。榛名先輩は外出中だ。

【では、12時に六本木で】

六本木?どこへ行くんだろう。
その後、榛名先輩は午後いっぱい戻らず、社内メールで仕事の指示が来ただけだった。