「そんな……付き合いが深まるって、どうすれば深まるんですか?」
私が尋ねた途端、榛名先輩は口をつぐみ、次の瞬間にかーっと赤面した。可愛い。ってそうじゃなくて、なんで赤くなってるの?
そこまで考えて、私は『付き合いが深まる』の意味にようやく思い至った。
「あ、そういう……」
男女の仲になってから……少なくともキスくらいは交わす仲になってからってことなのだろう。
私は自分の過ちに頬を熱くし、うつむいた。
「タオルがあるから、タクシーを捕まえて帰れる」
榛名先輩は戸惑いがちに言い、私を見つめた。
「里乃子のことは大事にしたいんだ」
「傑さん」
「結婚を前向きに考えてくれるようになるまで努力する」
真面目な愛の言葉に、胸がむずむずする。これは正直に嬉しいって気持ち。だって、こんなふうに大事にされてるのって女として嬉しいでしょう。
もう一方で、胸の奥には罪悪感がしっかりある。
先輩はまだ私の気持ちが全然動いてないって、きちんとわかってるんだなあ。そりゃ、私の指導係を半年してるもんなあ。仕事の面だって、私の間違えるポイントからミスした時の顔色まで把握してるもの。
私の気持ちなんかお見通しってわけだ。
申し訳ない。こんな私のことを好きでいてくれる先輩に、謝りたい気持ちになる。
「タクシーを止めよう」
榛名先輩は私をアパート前まで送ってタクシーで帰っていった。足元にタオルを添えて座席を汚さないように配慮して。どこまで完璧なんだろう、榛名先輩は。
私が尋ねた途端、榛名先輩は口をつぐみ、次の瞬間にかーっと赤面した。可愛い。ってそうじゃなくて、なんで赤くなってるの?
そこまで考えて、私は『付き合いが深まる』の意味にようやく思い至った。
「あ、そういう……」
男女の仲になってから……少なくともキスくらいは交わす仲になってからってことなのだろう。
私は自分の過ちに頬を熱くし、うつむいた。
「タオルがあるから、タクシーを捕まえて帰れる」
榛名先輩は戸惑いがちに言い、私を見つめた。
「里乃子のことは大事にしたいんだ」
「傑さん」
「結婚を前向きに考えてくれるようになるまで努力する」
真面目な愛の言葉に、胸がむずむずする。これは正直に嬉しいって気持ち。だって、こんなふうに大事にされてるのって女として嬉しいでしょう。
もう一方で、胸の奥には罪悪感がしっかりある。
先輩はまだ私の気持ちが全然動いてないって、きちんとわかってるんだなあ。そりゃ、私の指導係を半年してるもんなあ。仕事の面だって、私の間違えるポイントからミスした時の顔色まで把握してるもの。
私の気持ちなんかお見通しってわけだ。
申し訳ない。こんな私のことを好きでいてくれる先輩に、謝りたい気持ちになる。
「タクシーを止めよう」
榛名先輩は私をアパート前まで送ってタクシーで帰っていった。足元にタオルを添えて座席を汚さないように配慮して。どこまで完璧なんだろう、榛名先輩は。



