「でも、里乃子はそれでいいの?」

雅美が多少なりとも冷静な声で尋ねてくる。

「榛名さん、苦手なんでしょう?」
「う~ん。まあ、苦手というか、怖いというか」
「そんな人と付き合って平気?」

平気かと言われると、まだわからない。付き合って一週間も経ってないし、一度ラーメンを食べに行っただけだもの。職場では何ひとつ変わらない鬼教官ぶりだし。

「そのうち、慣れるかなあって」
「里乃子は、付き合ったら優しくしてもらえるとか思ってたんじゃないの?」

かほの意地悪な指摘に私はぐっと詰まった。図星過ぎて言葉が出ない。

「いやいや、そんなことは」
「あるでしょ。絶対、それは考えてOKしたでしょ。そうでなきゃ、恐怖対象まで言う人と付き合わないでしょ」

かほの言葉に続いて花凛が言う。

「あとはイケメンだからもったいなかったとか?どうせなら一度くらいイケメンと付き合ってみようとか?」
「う」
「恋愛に興味のない自分にも、モテた思い出があるんだよ~ってヤツ?」

私はぎくぎくっと再び図星に固まった。
エスパー?私の思考ってそんなにわかりやすい?
ってかうちの同期、ホント口悪い。