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「ミレーナ。あんなことを言って一体どうするつもりだ。浮気調査なんて専門外だろう」


メディさんの屋敷を出て、魔界の町を歩く。隣に並んで険しい顔をするルキは、半ば呆れたようにこちらを見ていた。


「だって、放っておけないじゃないですか。メディさんが元気にならないとレストランでは働いてくれないでしょうし、私は彼女の恋を応援したいんです」

「恋…?」


ゲンナリした空気を露骨に感じる。

理解しかねる、といった表情のルキは、他人の色恋沙汰に興味がないらしい。

確かに彼の言う通り、浮気調査は専門外。

メディさんがマオットさんの仕事内容や職場を本職以外知らないため、詳しい情報を得られず、人間界に出向いて仕事仲間に言質をとることは無理に等しかった。おまけに当の本人は石像になっている始末で、浮気をしていない証拠を掴む方法は見当もつかない。

パティシエールをスカウトをするために何としてでも彼女の悩みを解決したいものだが、はやくも八方塞がりだ。