設定じゃないんだけどな。

友人と楽しそうに話している彼女にそんなことは言えなかった。

魔界レストランは、魔界をコンセプトにしたお店で、従業員は魔物になりきって接客していると思われているらしい。

怯えられてお客さんが来なくなるよりはマシだが、本物だと説明しても信じる人はいないだろう。


やがて午後十時を回り、一日の営業が終わった。

掃除や片付けをする従業員たちを眺め、つい、ため息が漏れる。


「やっぱり、もったいないですよね」


勘定の計算をしていたルキが、こちらに視線を向けた。


「なぜそんな落ち込んでいるんだ?今日もそこそこの売り上げだったが」

「違うんです。お金の話ではありません」


きょとんとする一同。

私は、深く息を吸ってハッキリと告げた。


「正直、ランチタイムの営業ができないのは痛いです。国一番の有名店までの道のりはまだまだ遠いのに、このままでは必ず壁にぶち当たります」


ディナータイムは若年層が大半で、その多くが噂を聞きつけて来たミーハー客に過ぎない。

もちろん、料理が美味しい上に、ケットやヴァルトさんの接客も喜ばれているため、皆満足して帰っていくのだが、もう一歩先に進みたいところだ。