魔界レストランをバズらせます〜転生少女の立ち退き撤回奮闘記〜

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小鳥の声が聞こえ、ふと目を覚ます。

西洋風のランプとお洒落なカウンターが見え、昨夜のことを思い出した。

そうだ。私、昨日レストランに泊まったんだ。

朝の光に包まれたレストランは、夜とは違った雰囲気だった。

寝ぼけながら綺麗に磨かれた店内に見惚れていると、肩からぱさりと毛布が落ちる。やっと覚醒したが、体にかけられていたそれに見覚えはない。

どおりで寒くなかったはずだ。

日本と似た気候で四季があるこの世界は、今は九月ごろの時期であり、羽織っていたコートだけで夜を凌ぐには少し肌寒かった。

温かな毛布のおかげで風邪を引かずに済んだらしい。

毛布は洗いたてのようで、ふわふわの肌触りなうえに洗剤の香りがして心地良い。ほのかに香る甘い匂いは柔軟剤だろうか?とても落ち着く好きな香りだ。

柔らかな毛の感触に視線を落とすと、近くですやすやと眠る小さな黒猫が見えた。丸くなる彼は、暖を取るように私の足元に寄り添っている。

この毛布は、ケットがかけてくれたのかな?