魔界レストランをバズらせます〜転生少女の立ち退き撤回奮闘記〜


流れるように頬に手を添えられた。至近距離で見つめ合うのは恥ずかしくて、身を任せるように目を閉じる。

微笑むような吐息が聞こえた後、初めて唇が重なった。

恥ずかしいとか緊張するとか、頭の中は抱え切れないほどの感情でぐちゃぐちゃだ。だけど、それも全部考えられなくなるくらいに嬉しくて幸せな気持ちで満たされる。

自然に口づけを奪った彼は、私の髪をときながらささやいた。


「愛してる。流れる時が違っても、俺はいつまでもお前の側にいよう」


はじめて聞くような甘い声。耳をくすぐった吐息に震える。

体が熱くてしょうがない。照れてシャツにしがみつくことしかできないでいると、優しく抱き寄せられた。

今までとは明らかに違う距離。気づかうような腕の力加減も、触れる指も、その全てから愛しさが伝わってくる。温かくて良い匂いのする腕の中は心地良くて、首元に顔をうずめたいなんて思ってしまう。


「遠慮をするな。甘えていい」


彼は、いつも私の心をお見通しなのだ。

素直に抱きつくと、優しく私の前髪を分けたルキは額に軽く触れるようなキスをした。